ご挨拶
幼い頃から憧れていた獣医師になり早22年。
専門とさせていただいている脳神経外科、整形外科も他院からのご紹介症例も含め年間執刀数も年々増え、今では脳神経外科症例だけで年間100を越える症例数となりました。
ここ数年、ダックスフンド、フレンチブルドック、コーギーなどの犬種の飼育頭数の増加に伴い椎間板ヘルニア、変性性脊髄症、変形性脊椎症などの神経疾患が増えています。
中でも椎間板へルニア神経学的グレード5の一部症例や脊髄軟化症、変性性脊髄症、交通事故などの外傷性脊髄損傷らは、日進月歩の現代獣医学でも、まだまだ、思うような治療結果を得ることができないのが現状であります。
犬の椎間板ヘルニアグレード5における外科手術後の歩行回復率は、50%(1980年Gambardella)、76%(1991年Anderson)、62%(1999年Scott)、58%(2003年Olby)などと報告されており、約50%の犬たちは歩行不可となっているのが現状です。
また、変性性脊髄症、脊髄軟化症といった疾患においては、治療手段がないのが現状です。進行性脊髄軟化症は深部痛覚がない犬の5~10%にみられ(1999年Scott、2003年Olby)、発病初期では有効な診断方法がないことが報告されています。
進行性脊髄軟化症と椎間板ヘルニア神経学的グレード5は全く異なる疾患であることが彼らの報告で明らかであるが、進行性脊髄軟化症という病気の発症機序、早期診断方法などがもう少し解明開発されない限り、椎間板ヘルニアと進行性脊髄軟化症との関係が誤解されやすく臨床獣医師としては悩ましい限りであります。
コーギーなどに多くみられる変性性脊髄症も進行性脊髄軟化症と同様に根治療法がない疾患です。
何年か何十年かの未来に、2009年現在における私たち臨床獣医師が根治できずに苦悩している疾病を新たな治療方法で根治可能なものにしたい。するために、その一撃に加わりたく大学院での研究活動を志しました。
近年、神経も再生することが証明され、様々な再生医療が世界中で研究されています。
夢は叶うものと信じて、臨床と研究と暫らくは休みのない生活ですが力の限り頑張ります。
月曜日、火曜日、土曜日、日曜日は今までどおり専門外来をさせていただきます。水曜日、木曜日、金曜日は大学院での研究日となります。
ご迷惑をおかけする事もあるかと思いますが、ご理解のほど、どうぞよろしくお願い致します。
このような、ご挨拶をさせていただき2年5か月前に大学院での研究生活に入りました。現在、日本獣医生命科学大学大学院獣医生命科学研究科博士課程の3年生となりました。
大学院では、獣医外科学教室に所属して、「犬の脊髄損傷の病態解析と脊髄再生」をテーマに研究を行っております。
また、大阪府の(財)田附興風会 医学研究所北野病院ならびに藍野大学再生医療研究所の各施設において、客員研究員の職をいただき人医界の医師や研究者と共同研究をさせていただいております。
中でも、京都大学医学部名誉教授、現藍野大学再生医療研究所所長の井出千束先生(神経組織学)、京都大学医学部臨床教授鈴木義久先生には、脊髄再生の基礎分野におけるご指導と研究支援をいただいております。
日常の臨床研究は、日本獣医生命科学大学獣医外科学教室の多川政弘教授、原康教授、原田恭治講師にご指導、ご協力をいただいております。
多くの先生方に支えられ、日々研究は進歩をみせ、日本再生医療学会、日本獣医学会、獣医麻酔外科学会、京都大学再生医科学研究所カンファレンスなどで研究結果を報告させていただいております。
また、2011年3月におこなわれた第7回日本獣医内科学アカデミーにて研究報告させていただいた「犬の胸腰部椎間板ヘルニア(グレード5)に対する自家骨髄由来単核細胞の移植効果」は、臨床研究部門の学会賞をいただきました。
現在、本研究における犬の胸腰部椎間板ヘルニア神経学的グレード5症例での治療成績は歩行回復率約90%(再生医療系国際誌投稿中)であります。
いつの日か、近い未来に車いすの犬猫がすべて自力歩行のできる日を信じて...当医院では偽りではない科学的根拠にのっとった脊髄再生医療をおこなっております。
今後も犬猫における脊髄損傷の病態解析と脊髄再生の臨床研究に初心忘れることなく精進してまいります。
2011年8月
略歴
| 1986年3月 | 日本大学農獣医学部獣医学科 卒業 |
|---|---|
| 1988年3月 | 日本大学大学院修士課程 修了 |
| 1990年 | 神奈川県伊勢原市で「愛甲石田動物病院」を開業 |
| 1990年~1996年 | 東海大学医学部 研究生 |
| 2005年 | 麻布大学整形外科専科 研修医(2005年~2007年) |
| 2006年 | 愛甲石田動物病院にてCT導入 |
| 2007年 |
麻布大学神経科専科 研修医(2007年~2009年) 愛甲石田動物病院にてMRI導入 |
| 2009年 |
日本獣医生命科学大学大学院獣医学研究科博士課程 獣医外科学教室在籍(2009年~) 愛甲石田動物病院研究部門 ケーナインラボと研究業務提携 |
| 2010年 |
医学研究所北野病院(大阪北区扇町)「神経再生カンファレンス」(主宰:井出千束京都大学医学部名誉教授)メンバー(2010年~) 愛甲石田動物病院研究部門 フローサイトメトリー導入 愛甲石田動物病院研究部門 リアルタイムPCR導入 |
| 2011年 |
医学研究所北野病院 客員研究員(2011年~) 藍野大学藍野再生医療研究所 客員研究員(2011年~) |



